大学生向けアパート「SHU(シュウ)」のコミュニティを作り、見守る大人たちを大学生がインタビュー。
第2回は、仙台市青葉区にある古着屋「ShuShuBell(シュシュベル)」「Ms.Belinda(ミスベリンダ)」の佐藤さんに、東北芸術工科大学3年生・高村拓弥がインタビューしました。
SHUに参加することになったきっかけ

ShuShuBell、Ms.Belindaオーナー の佐藤さん
ー ShuShuBelll、Ms.Belindaが、「SHU」の取り組みに参加することになったきっかけを教えてください。
うちのお店は、学生のお客さんが多いんです。進学を期に仙台に来た学生さんの中には、なかなか好きな物が見つからないという人も多いのではないかと思ったので、手助けをできればいいかなと思って。好きなものを着ておしゃれしたり、好きなものを食べたり、仙台での学生生活を有意義に過ごしてほしいんだよね。
ー 仙台に来たばかりで、あまり仙台のことを知らない学生にも知ってもらいたいということですね。
そうだね。そういう子たちをお店をはじめて12年間いっぱい見てきたのよ。学生さんが楽しく買い物をできたら僕も嬉しいし、いい話だなぁと思って引き受けたんだよね。大学4年間、うちのお店に通ってもらう。その子が卒業したらまた新入生にうちの店に来てもらう、その繰り返しなのかなって思うよ。
ー ShuShuBell、Ms.Belindaとして、今回のような試みに参加するのは初めてですか?
これまでも学生さんとの取り組みには参加しているよ。例えば、学生サークルに「こういうことをやりたいので協力してもらえませんか?」なんて話を振られたら、基本うちの店では断らないね。
お店のこだわり
ー ShuShuBell、Ms.Belinda、それぞれのお店の名前の由来を教えてください。
「ShuShuBell」は、言葉としては検索しても出てこない造語で、髪の毛を束ねる「シュシュ」と反響するという意味の「ベル」で、「集まって反響する」という意味を込めている。
「Ms.Belinda」はイタリア語で、「これから大人になる女性」という意味。お店のロゴは学生さんが、月のマークや字体まで全部作ってくれたんだよ。
ロゴも、プロのデザイナーに頼めばクオリティの高いものが出来上がると思うけれど、これからの世代の人に頼めば面白いのが出来上がると思って頼んだんだ。実際、出来上がってきたのがすごく良かったから「これで行こう!」って。
ー かっこいいロゴですね!
古着屋さんは、お店ごとにそれぞれコンセプトがあると思うのですが、ShuShuBell、Ms.Belindaはどんなコンセプトなんでしょうか。

ShuShuBell店内
ShuShuBellは、ボーイッシュでカジュアルなアイテムが多いので、大学1〜2年生の男女が多く来るよ。
Ms.Belindaは、大人っぽいアイテムも揃っているので、大学3〜4年生や社会人の女性が多く来ている印象かな。

Ms.Belinda店内
ー お客さんとの接し方でこだわっていることはありますか?
うちの接客のスタンスは「会話して接客する」ということ。単純にお客さんに楽しんでもらいたいし、また来てほしいからそうしています。物を売るだけでなく想いも伝えて、「買ってよかったな」と思ってもらいたいんだよね。
ー 服の提案もするんでしょうか。
するする。お客さんから、「こういうのがいい」っていう好みを教えてもらって、お客さんを見つつ各スタッフが提案する。だから買い付けはスタッフみんなで行っています。
ShuShuBellもMs.Belindaも、店のスタンスがこうだからこの商品を置くではなくて、お客さんがこれを求めているからこの商品を置こうというスタンスです。
これは、新品を扱うアパレルショップではなく、古着屋さんだからできることだよね。買いつけてくる人によって、店の構成が変わっても全く構わないと思っているよ。お客さんに楽しく買い物をしてほしいからこそ、そこを大事にしています。
古着の魅力
ー そもそも、どうして古着に興味を持ち始めたんですか。
僕は、専門学校に行くタイミングで仙台に来て、一年間アパレルショップで働いた後、古着屋さんに転職したんだ。
そのタイミングで、古着屋さんのスタッフがどんどん辞めてしまって、21歳で店長になっちゃった。そこから買い付けも行くようになって、約2年間アメリカと日本を行ったり来たりしていたんだけど、この時はすごい楽しかったんだよね。
そこから古着のもっと深い部分を掘りたくなっちゃって。これまでは物としてしか見ていなかった古着が、アメリカに行って買い付けをしているうちに、見るだけで「誰々がどんな使い方をしていたか」が分かってくるようになったんだよね。
例えばデニムだと、なんとなく「古い方がいいよね」とは思っていたんだけど、なんで「古い方がいいのか」までは考えていなくて。アイテムとしての質よりも、その物の奥に見える価値や、「どういう風に着ていたんだろう」みたいなことを考えるのが楽しかったんだよね。
ー 古着を買い付けるのは海外が多いのでしょうか。日本のものはないのでしょうか。
日本のものはないよ。「古着屋」というスタンスでやっている人たちは、皆アメリカかヨーロッパで買い付けている。日本のものを置いていると、「それ、リサイクルショップでしょ」ってなっちゃうから。
最初に古着屋を始めた人って本当にすごいよね。アメリカで寄付されている物を買ってきて、それがまたアメリカのお金にもなって、さらに自分たちのビジネスにもなっていて、よく考えたなって思う。そういうのを気付いたのもアメリカに行った時だったな。
ー アメリカは大量消費のイメージがあります。
それで合っていると思うよ。アメリカでは、着なくなった服をすぐにリサイクルショップに出す習慣が根強いのかもしれない。
物を着古すという感覚は、日本人の方が強いと思う。日本みたいに「古い物を大事にしましょう」というノリだと、逆に物がなかなか回らないというか、新しい物が出てこない感じになっちゃう。
ー では、古着屋は日本だからこそ発展したんでしょうか。
そうだと思うよ。古着屋さんって日本の文化だと思う。
海外にも、アンティークショップとか古いものを売っている店はあるけれど、セレクトショップや、ユーズドヴィンテージショップは日本にしかないと思う。アメリカでもあるにはあるかもしれないけど、そういう感覚をつくったのは日本の方が絶対早かったと思う。
アメリカ人の恰好に憧れて、日本人がアメリカの服を日本に持ってきて広めたかったんだと思うし……そんな話をしていくと戦争まで遡りそうだけどね。
ー 僕の考える古着の魅力を語らせてください。最初にお会いした時に、僕のコートが古着だと気付いてくれたのが嬉しいです。このコートは今から約50年前のイタリア空軍のトレンチコートなんです。もしかしたら、戦争や紛争地で使われていたかもしれない。これを着ていると強くなったような気がします。
あはは。でも本当にそういうこと。そういうバックボーンがあるのも古着の面白さだと思うよ。
ー 日本の付喪神(つくもがみ)の様に、物をずっと使っていたらエネルギーが宿る気がします。
古着って、どこから来たのか分からないんだよ。50年前だから前の持ち主が50年間ずっと持っていたのかもしれないし、色々な人の手に渡って最終的に来たのかもしれないし、それって面白いよね。
ー すごく面白いです。
多分所有していた人によって着方が違う。ちゃんと軍服として着ていた人もいれば、ファッションとして着ていた人もいるだろうし。そういうことが古着の面白さだよね。だって誰かが着ていたんだから古着なんだもの。デッドストックの場合もあるかもしれないけれど、誰かが所有していたのは間違いないからね。それを突き詰めると面白いよね。
ー 古着の魅力がヴィンテージっていうとその一言では表せないですよね。
そうなのよ。ヴィンテージの価値観って人それぞれなので、「50年前はヴィンテージ」と思うって人もいれば、「10年前もヴィンテージ」という人もいて、一言ではくくれない感じはするかなあ。まあ難しいから面白いんだけどね。
時代がだんだん進むにつれて古着の時代も一緒に進んでいくのも、古着屋さんをやっていて楽しいところなんだ。
例えば、僕がアメリカに行っていた20代の頃に買い付けていた服は、大体1970年〜1980年代くらいの服だったんだけど、今行ったら1990年〜2000年代の物が多いと思う。
アメリカのカルチャーも変わっていくから、それが古着に見え隠れするのも面白いし、終わらないんだよね。そうやって新しいヴィンテージが出てきて、当時気づかなかった物の魅力に気づく。どんどん新しい流行りにアップデートされていって、古着屋さんはそれについて行くから終わりがないんだよね。
ー 面白いですね。僕が思う古着の魅力はお話させていただいたのですが、他の学生さんはどんな理由で来ているのでしょうか。
結構ばらばらだね。今は「人と被らないから」が多いんじゃないかな。最近は古着も高くなってきていて、それでも人と被らないおしゃれがしたいっていう感覚の学生さんが増えてきている気がする。古着の値段のつけ方に基準はなくて自由だから、お店ごとの感覚で売るんだよね。
ー 新品よりも価値がバラバラなので難しいですね。
そうだね、価値観の問題なのよ。値段をつけている人の感覚だから、自由なところが古着の魅力だと思うよ。だから古着屋さんは、同じ洋服を扱っていても、新品のアパレルショップとは異業種だと思うし、やっていることも違うからね。
お店のこれから
ー コロナ禍で、お客さんの状況はいかがですか?
こんな状況でも、来てくれる人はいる。ネットで買ってくれるお客さんはもちろんありがたいけれど、やっぱり店がメインだと思ってるから。だからやっぱり店に来てくれるのが一番嬉しいし、楽しく仕事できるなあと思うよ。そこにやりがいを感じていると思う。
ー お店について、これからの目標やゴールはあるのでしょうか。
あえて設定しないようにしているんだよね。小さな目標はあるんだけど、漠然とした大きな目標はつくらないようにしているかな。 うちのスタッフも、「今年はこうしよう」みたいなことは決めているんだけれど、何年か先の目標というのはあまり決めないようにしているかな。
ー 最後に、SHUの学生さんに、ShuShuBell、Ms.Belindaの魅力を自慢してください(笑)。
自慢かあ(笑)。究極を言うと自慢はできないなあ。今が最高だと思っていないから。少しはここが良いって言えるところがあるかもしれないけれど、それが本心かって言われたら違うと思う。
日々変化していく12年間だったから、自慢できるのは自分が店を辞める時なんじゃないかな。やっぱりまだまだってずっと思っているし、もっとこうしたいって思いながら日々を送っているからね。
ー 今日は本当にありがとうございました。今度はプライベートで服を選びたいです。
うちのスタッフは聞かれたら何でも答えるよ。いっぱい聞いてください!
お店情報


ShuShuBell
〒980-0803 宮城県仙台市青葉区国分町1丁目3−12 遠藤ビル 1-2F
営業時間 12:00-20:00
電話 022-765-0806
不定休
https://www.instagram.com/shushubell/
https://www.shushubell.shop/
SHUの特典:10%OFF(会計時にLIBOTの画面を提示してください。)


Ms.Belinda
〒980-0804 宮城県仙台市青葉区大町1丁目4−14 建装ビル3F 302
営業時間:12:00〜20:00
電話:022-209-4877
定休日:水曜日
https://www.instagram.com/_msbelinda/
https://msbelinda.buyshop.jp/
SHUの特典::10%OFF(会計時にLIBOTの画面を提示してください。)
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